【銀行員必見】HSBCが人工知能(AI)によるマネロン検出を開始 -世界中の銀行業界で加速する金融犯罪対策

2018年4月8日、イギリスのHSBC銀行がマネロン(マネーロンダリング)、金融詐欺、テロリスト資金などの金融犯罪の検出に、フィンテック企業が開発する人工知能(AI: artificial intelligence)が搭載されたをサービスを利用すると現地メディアにて報じられています。人工知能の活用により、検出処理を今までよりも早く・安くできるようになります。
マネロンとは、「資金洗浄」とも訳されますが、反社会的団体が麻薬の販売など犯罪から得られた資金の跡がつかないように、複数の金融口座を転々とさせることを言います。そうすることで、警察などに摘発されることを逃れようとしているわけです。


HSBCは人工知能・マシーンラーニングを搭載したサービスを開発しているイギリスのフィンテック企業「Quantexa」と提携し、同社のAIソフトウェアをHSBCのシステムに統合して検知処理を行います。このAIソフトウェアは、HSBCが保有するデータとオンライン上にある膨大なデータをスクリーニングし疑わしい行動を検出します。Quantexa は2016年に創設されたばかりのスタートアップで、いわゆる「フィンテック企業」です。

Quantexaのサービスは、幅広い情報ソースから構造データ(ストラクチャードデータ)と非構造データ(アンストラクチャーデータ)をスクリーニングし、口座開設や送金などの金融取引を行おうとする顧客の電話番号、住所、企業経営者、ニュースなどから金融犯罪に関連する情報がないかを即座に検知します。
非構造データとは、音声や動画などの整理されたデータモデルでない情報のことを指しますが、そのままでは解析が難しいことから解析するためには一旦構造化されます。非構造データの解析には長い時間がかかることが指摘されてきましたが、先進ITの一つである人工知能・マシーンラーニングを使うことで即座に大量の非構造データを分析できるようになりました。


2017年、HSBCはベンチャーキャピタルの「Albion Ventures」とQuantexaに330万ドルの共同投資を行っており、これは【戦略的投資】とみられています。なお、HSBCは、Quantexa以外にもマネロン対策システムの精度向上、自動化のためにAIのスペシャリストでもあるフィンテック企業「Ayasdi」とも提携しています。


Quantexa の創設者兼CEOであるVishal Marria氏は、「金融犯罪の検知処理とは、突き詰めれば資金の流れを理解すること。私たちのAIソフトウェアは、(HSBCの)全顧客の資金に関する全体像をリアルタイムで見極めることができる」と述べ、HSBCとのシステム改善に意欲を示しています。


HSBCのGlobal head of financial crime threat mitigationであるJennifer Calvery氏は「近い将来、Quantexaの人工知能はほぼリアルタイムで金融犯罪の検知処理を可能にする」と述べ、今より格段に高い精度での金融犯罪の抑制が達成できるとの見通しを表しています。



イギリスの銀行業界ではここ10数年ほどの間、マネーロンダリング等の金融犯罪を見逃すケースが散見され、国内外の政府・金融当局から課徴金の支払いを命じられることがあり、HSBCもその一つで多額の課徴金を支払っています。また、こうした事例を背景にほとんどの大手銀行は人工知能を専門に扱う企業との提携やシステムへの投資を行ってきています。ファイナンシャルタイムズ紙では、HSBCは2012年以降数十億ポンドをこの分野に投資しているとされています。

別の大手銀行の事例では、先週RBS(Royal Bank of Scotland、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)が中小企業の取引情報から偽の支払いなどの疑わしいものを検出するサービスを開発している「Vocalink」と提携することを発表しています。また、デンマークのDanske Bankは「Teradata」が開発しているビッグデータ解析サービスを利用し数万件ものデータをリアルタイムでスキャンすることを発表しています。ほかにも、シンガポールのOCBCは「BlackSwan Technologies」 と「Silent Eight」との提携により疑わしい取引情報の調査の速度・精度向上を目指しています。ほんのここ最近だけでもこれほど多くのニュースが報じられていることからも、世界中の銀行業界では人工知能を利用した金融犯罪対策に非常に高い関心があるということが伺えます。




人工知能を金融犯罪を検出に利用することのメリットは、金融犯罪検知の精度向上以外にもあります
イギリスの金融当局(FCA: Financial Conduct Authority)による調査によれば同国の銀行全体で50億ポンドもの費用が金融犯罪対策に費やされているようですが、人工知能で自動検出処理を行うことで人が介在する部分を減らし、大幅な費用削減ができるようになります


FCAは、銀行業界の人工知能を利用した金融犯罪対策の状況を日々モニタリングしているとされています。FCAのHead of Financial crime department(金融犯罪部門のトップ)であるRob Gruppetta氏は「先進IT技術を利用すれば今まで見落としてきた金融犯罪ですら高い確率で検知できるようになる」と述べ、「きれいな金融業界にしよう」と意気込んでいます。


金融機関には、金融犯罪を抑制する社会的使命があるのです。


関連記事「HSBCがオープンバンキングアプリを4月にも開始か」はこちら↓
http://fintechnewslondonfintechjagi.sokuho.org/article/fintechkenshirou18081802.html



(参照:Financial Times「 HSBC brings in AI to help spot money laundering」2018.4.8)
https://www.ft.com/content/b9d7daa6-3983-11e8-8b98-2f31af407cc8


(参照:Financial Times「HSBC froze account linked to alleged $500m Angolan fraud」2018.3.27)
https://www.ft.com/content/05649b3a-31e1-11e8-b5bf-23cb17fd1498



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