リトアニアでブロックチェーン技術を活用したバーチャル企業設立を容認 -EU域外からフィンテック企業流入を目指す

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2018年4月17、バルト3国のリトアニアが世界初となるバーチャル・リミティッド・ライアビリティ・カンパニー(VLLCs: Virtual Limited Liability Companies、仮想有限責任会社)の設立を認める方針を発表したと、同国への直接投資を促進させる組織Invest Lithuania(インベスト・リトアニア)が報じました。バルト3国では、エストニアがフィンテック先進国といわれていますが、リトアニアも負けていません。


VLLCsと認められた企業は、リトアニアに物理的な本拠地を置かずに、同国の法人格を取得することができます。現在、リトアニアの企業の登記などを管轄する行政庁(The Lithuanian Centre of Registers)が、早ければ2019年中に同政策を実施できるよう改正法案を策定し始めています。同行政庁は、「物理的な国境はもはや過去の産物である。私たちのVLLCプロジェクトは、リトアニアを次のステージにステップアップさせるための論理的な手法で、フィンテック分野での功績をもたらす」と述べています。


VLLCプロジェクトは、世界でもイノベーションに積極的といわれているリトアニア中央銀行(the Bank of Lithuania)もかかわっています。同行ボードメンバーのMarius Jurgilas氏は「ブロックチェーン上のVLLCs設立は、当中央銀行が進めてきた同技術活用をさらに効果的なものに高めることができる」と、ブロックチェーン技術が秘める大きな潜在力に期待するコメントを述べています。VLLCsのリトアニアにとってのメリットの一つは、「税収」です。VLLCsでは、物理的なオフィスを置かなくても法人格を取得できますが、税金はリトアニアに納める必要があります。



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リトアニア中央銀行 Marius Jurgilas
ブロックチェーン上での手続きや株式売買ができるVLLCsの導入は、フィンテック業界におけるリトアニアのリーダーシップを高めるために不可欠の要素である。
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VLLCsと認められた企業には、遠隔地(リトアニア以外の世界中の国)でも自社の登記内容や株式の発行、株式のトレース(株主のトレーサビリティ)ができるオンライン上の行政サービスを利用できるようになります。同サービスは、ブロックチェーン上で行われることから、実質的にリアルタイムで手続きができ、透明性が高く、また高度なセキュリティをもつことも特徴といえます。また、VLLCsだけでなく、株主もブロックチェ―ン上で、株式の管理や売買もできるようになり、中間業者を省くことができるようになります。(ブロックチェーンはP2P技術でPCとPCを直接つなぐ性質から、中央集権的な管理者が不要になります)


また、VLLCsは、レギュラトリー・サンドボックス(Regulatory Sandbox)など、諸外国に比べても先進的と言われている同国のスタートアップ成長政策を利用できるようになるとされています。レギュラトリー・サンドボックスとは、一定の監督環境下においてイノベーティブなサービスを実証実験することで、当局が定めた条件に則って実験が行われる限りにおいては損害が発生しても免責される制度です。VLLCsになれば、企業はリトアニアの法人として認められることから、関税などの障壁の影響をうけることなくEU内で事業を営むことができます。なお、VLLCsには、スタートアップ企業だけでなく、上場している大手企業でも利用することができます。


Invest Lithuaniaのアナリストは、シンガポール、アメリカ、イスラエルなど、スタートアップが多いEU非加盟国のフィンテック企業からのVLLCs申請が多いと予想しています。シンガポールやアメリカ(シリコンバレー・ニューヨーク)には無数のスタートアップが存在することは容易に想像がつきますが、実は徴兵時にITを学ぶことができるイスラエル(テルアビブ)にも多数存在します。とくに、防衛上の理由からも、サイバーセキュリティ関連のサービスが多い傾向があります。



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Invest Lithuania Mantas Katinas Managing Director
今の世の中は、ペーパーフリー・官僚制フリーに向かって動いている。長期的な視点でみると、増加する「即時完了サービス」に応える法制度を整備することは国際競争力を高めることにつながる。すでにリトアニアでは、フィンテック企業が免許取得に要する期間はたったの3か月と、EU内でも2-3位の早さを誇る。VLLCsプロジェクトも、長期的な視点で考えると「正しい方向」に向かっているといえる。
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現在、ヨーロッパのフィンテック業界では、リトアニアが策定しているVLLCsプロジェクトの改正法案がどのような内容になるか注目が集まっています。



関連記事「イングランド銀行(Bank of England)が「フィンテックハブ」を設立 -ブロックチェーン技術と仮想通貨に着目」はこちら↓
http://fintechnewslondonfintechjagi.sokuho.org/article/bankofenglandfintechhubblockchainukdistributedledgertechnology.html





(参照:Invest Lithuania「Blockchain-based companies could become reality in Lithuania as early as 2019」2018.4.17)



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