大手銀行のシェア、7年以内に3割減少の可能性 –Citiグループが衝撃の調査結果を発表

先進IT技術やイノベーティブなサービスを武器に大手銀行から顧客を奪い取ろうとするデジタル銀行の動きに、大手銀行は焦りを見せ始めています。「フィンテック」という言葉が流行りだしてから数年たちますが、残念ながら「金融機関の動きは遅過ぎるのではないか」との声が多々聞かれるのが現状です。

Citiグループが実施したアメリカとカナダの銀行を対象にした調査「BANK OF THE FUTURE」では、大手銀行に激震が走る結果が判明しています。
調査結果では「伝統的に大手銀行の収益源となってきた領域の収入が、2025年までに3分の1以上減少する」可能性があると指摘されています。

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2025年までに北米の既存銀行は、ペイメント(送金)、資産運用商品、中小企業融資等から得られる収入が34%減少する可能性がある
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同調査では、世界の中でも北米の銀行市場はデジタル技術を用いて参入する新興銀行が多く、伝統的な大手銀行がもつ顧客基盤をディスラプト(破壊)する可能性が高いとされています。ただし、クレジットカード領域については顧客流出のスピードは比較的遅いとの調査結果が判明しており、2025年までにデジタル銀行は17%のマーケットシェアのみを持つと予測されています。


調査を実施したCitiグループのHead of global banks researchであるRonit Ghose氏は、「今後市場シェアの変動はいたるところで見られる可能性がある。イノベーションに乗り遅れた銀行は、10年後にはシェアを大きく縮小する脅威がある」と、警鐘を鳴らしています。


アメリカの銀行業界では、イノベーションラボを設立してフィンテック企業からくるデジタル化の波に乗る銀行も多く見られます。一方で大手IT企業とタッグを組む動きも確認されています。
こちらも衝撃のニュースでしたが、2018年3月上旬には、「JP Morganがアマゾン(Amazon)と共同で銀行口座開設に関するディスカッションをしている」との話も出ています。(最下部にあるリンクを参照ください)


<有名デジタル銀行>=====================================
★オンライン銀行:Atom Bank、Bank of the internet USA
★中小企業融資(P2Pレンディング):Funding Circle、Lending Club
★ペイメント分野:Revolut、TransferWise
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関連記事「Revolut CEOがInsurTech参入を発表!」はこちら↓
http://fintechnewslondonfintechjagi.sokuho.org/article/458103291.html



一方ヨーロッパの銀行業界では、EUが定めるPSD2(第二次決済サービス指令)によりフィンテック企業等の第三者にシステムの仕様を公開する「オープンバンキング」が開始され、大手銀行はオープンバンキングアプリ開発を急いでいます。オープンバンキングアプリができると、フィンテック企業などが開発する高度な利便性のあるサービスが大手銀行のアプリ内で利用できることとなります。


このようにヨーロッパの銀行業界には行政主導でフィンテックに取り組む動きもありますが、それでもデジタル銀行に顧客が流出し、収入が減少することが現実の話となってきています。

イタリア最大手Intesa Sanpaolo(インテーザ・サンパオロ)のCarlo Messina CEOは、ペイメント業務等、一部の主要銀行業務についてオンラインサービスを提供するデジタル銀行にマーケットシェアを奪われるとの懸念をしめしています
同CEOは、「顧客流出の脅威があることは明らか。既に今期の収入も減少傾向がみられる」と、暗い表情を見せています。ただし、中高齢の比較的中間富裕層から富裕層顧客については、未だにデジタル銀行への信頼度が低いことから、同ターゲット層の顧客流出は限定的と見ています。そのため、これらターゲット層への保険や資産運用商品販売を今後の活路としています。


イギリスでもデジタル銀行の波が押し寄せています。その背景について説明します。
イギリスでは、大手銀行による寡占状態が長年続いていました。大手銀行というのは、HSBC、バークレイズ、ロイズ、RBSの4行を指すことが多いです。またサンタンデールUKを加えた5行を指す場合もあります。

寡占状態が長年続いていると、大手銀行は消費者利益を考えて価格低下や消費者の利便性を高めるような努力を怠るようになります。平たく言えば、イノベーションに取り組まなくなります。つまり、盤石な顧客基盤を持つ大手銀行は、大金を使ってまでイノベーションをしなくても顧客流出や収益が確保されていました。


そうすると、消費者はどう感じるでしょうか。パソコンやモバイルが無い時代なら、もしかすると何も感じないかもしれませんが、スマートデバイスが普及する中でiPhoneのアプリやGoogle Map等のとても便利なツールを使っていると、「なぜ銀行のサービスは不便なの?」、「なぜ窓口に行かないと手続きできないの?」、「なぜ午後3時に閉店するの?」、「手数料ってこんなにも高いの?」と疑問や不満を持つことは容易に想像できるのではないでしょうか。

このような状況を打破すべきと考えたイギリスの金融当局(Financial Conduct Authority:FCA)は、金融関連ITサービスを開発するフィンテック企業に着目し、銀行業界の新規参入要件を緩和しました。FCAは、フィンテック企業の銀行業界参入により、フィンテック企業がもつ便利な金融サービスを普及させて消費者の利便性を高めるとともに、銀行業界の競争性を高めることで大手銀行もイノベーションに関してウカウカしてると顧客流出につながる環境を整備しました。
その後大手銀行はイノベーションを進めていますが、同時に多数の銀行系フィンテック企業が市場に参入、あるいは参入を計画するという状況が生まれました。そうして、上記で触れました「Revolut」や「Atom Bank」などのフィンテック企業が現れてきているのです。


関連記事「HSBCがオープンバンキングアプリを4月にも開始か」はこちら↓
http://fintechnewslondonfintechjagi.sokuho.org/article/fintechkenshirou18081802.html


(Citiグループ「BANK OF THE FUTURE」)
https://ir.citi.com/CiDxU7p7pAittTmqzfMCS9%2F91IS21vIjJXbn3wjpSEYiTXJ8FvEPRWx8WmmrKNgBSzDi8E2mGOI%3D

(参照:Financial Times紙「Big banks on notice as tech groups ramp up pressure」2018.4.1)
https://www.ft.com/content/242b387e-328d-11e8-b5bf-23cb17fd1498

(参照:Financial Times紙「Amazon in talks with JPMorgan to offer bank accounts」2018.3.5)
https://www.ft.com/content/6f89263c-209a-11e8-a895-1ba1f72c2c11



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